1から始めるFX -実践編- 初心者にオススメの中・長期投資とポイント

投資歴9年のライター児山です。

今回は「1から始めるFX -準備編-通貨の決め方と注意すべきポイント」に続いて、少し実践的な内容に入っていきます。

FXの基礎になりますが、専門的な用語や考え方が入ってきます。はじめは少し難しいかもしれませんが、基礎を覚えればその後もずっと使える知識となります。

また、筆者はFX初心者に長期投資からスタートすることをオススメしています。その理由を説明していきたいと思います。

FX初心者は短期投資と長期投資どちらを行うべきか

投資には様々な投資スタイルがあり、主に数秒間で取引を終えるスキャルピングトレードから、1日の間に取引を終えるデイトレード、大きなトレンドを狙って数週間から数ヶ月ポジションを保有するスイングトレードがあります。

初心者は、中・長期的な取引期間であるスイングトレードがオススメです。なぜなら、デイトレードのような短期取引には非常に様々な判断材料が必要となるからです。

仮に、日本時間20時あたりから買って翌日のお昼ごろに売りだという売買戦略を立てたとします。

その判断材料としては、たとえば前日のNYが強く、ドイツの選挙結果も良好。アメリカは利上げ傾向にあり、今夜発表される経済指標も良い予想が出ており、上昇トレンドが継続。昨晩のNYでオプションバリアが突破され、仲値不足で買いが入り、M&Aによる米ドル調達が行われている噂もある等々……相場のニュースや需給を細かく分析し、戦略を立てなければなりません。

恐らく、初心者の方は何が書かれているか分からないでしょう。つまり、それがデイトレードなのです。

もちろん、もっとシンプルに取引する方法もありますが、大きな経済や金融政策の流れに乗れば利益を出すことができる長期投資のほうが、初心者の方に向いていると筆者は考えます。

長期投資を行う上で重要なポイント

では、長期投資を行う上で、どういった情報を参考にしていけば良いでしょうか。筆者は主に、以下3つの指標から判断するようにしています。

・景気(雇用情勢、小売売上高、貿易収支)
・物価動向
・金融政策

景気

景気が良い国の通貨は買いで、景気が悪い国の通貨が売り、ということは理解しやすいかと思います。たとえば、ドル円は(USD/JPY)2つの通貨同士の綱引きです。ですので、日本よりもアメリカの景気が良い場合は、基本的にドル買いとなります。

景気を図る様々な指標がありますが、主に「雇用情勢、小売売上高、貿易収支」の3つに注目すると良いと思います。

・雇用情勢:失業率が低くて、給料が上がっているか
・小売売上高:物が売れているか
・貿易収支:輸入より輸出の方が多くて自国の商品が売れているか

これらの数値は経済指標として毎月1度発表されますが、単月で見るのではなく、数ヶ月スパンで考えるようにしましょう。

たとえば「1月のアメリカの雇用情勢は悪かったけど、2月~4月は良好、小売売上高も安定して伸びている」となると、景気は回復傾向にあると判断できます、なので、中長期的にドルを買うという売買戦略が基本となります。

物価動向

物価と為替は密接な関係にあります。基本的に、物価が高い国の通貨は買われやすく、安い通貨は売られやすい傾向にあります。

これには金融政策が関係しています。物価が上昇基調にある時には、景気は良く、人々の給料が上がっており、消費が促進されるので、物の値段が上昇する、という流れがあります。そもそも景気が良いから物価が上がる=通貨を買う、という考え方もできますね。

物価が上がるとどうなるでしょうか。物の値段を上げても消費が続くということは、企業が儲かるということです。そうなると、投資家が企業の株を買うために株価が上昇します。しかし、株価の上昇が行き過ぎるとバブルになり、弾ける恐れがあります。

金融政策

行き過ぎたバブルや、バブルが弾けることを抑えるために、中央銀行は政策金利を上げることで金融引き締めを行います。金利が上がると、株式市場から銀行にお金が流れ、また企業の貸出金利が上昇すると、過剰な設備投資を抑えられるからです。

そうすることで、景気のバランスが取れるわけです。

そして、政策金利が上昇すると、その国の通貨を保有していると、以前よりも多くの金利をもらえるということになります。そのために、物価が上昇傾向にある国の通貨は政策金利の上昇が見込めるという思惑が働くために、買われやすくなるのです。

しかし、物価が下落傾向にあると、逆の動きになります。

将来的に政策金利が下落するかもしれない、景気が悪くなるかもしれないという思惑が働き、その国の通貨は売られやすくなります。

少し難しいですが、まずは物価が上がると買い、下がると売り、と覚えておきましょう。

貿易収支と為替相場

貿易収支は景気とは少し違いますので、分けて説明しましょう。

たとえば、日本で自動車メーカーがとても性能の良い自動車を開発したとします。アメリカではその自動車が一大ブームとなり、大ヒット!自動車メーカーは大儲けです。

さて、この時のお金の流れはどうなっているでしょうか。アメリカ人は米ドルで車を買いますが、最終的には日本円に両替され、日本の自動車企業の元に入ってきます。

つまり、米ドルが売られて、日本円が買われるのです。ドル円(USD/JPY)の場合は、米ドル安円高となりますので、この場合はドル円を売るという売買戦略となります。

初心者の方は、ドル円を売るという判断が難しいかと思いますが、日本円を買うという考え方をすると、しっくりとくるかもしれません。

具体例を見てみましょう。

2011年に発生した東日本大震災の際に、日本は海外から石油を大量に輸入しました。そうすると、日本円を売って米ドルや英ポンドを買うというお金の流れが生まれます。

これは、大量の円売り要因となりますので、円安が進みやすいということです。参考までに、2014年~2017年の貿易収支とドル円のチャートを添付しておきます。

日本の貿易収支とドル円チャート

出典:ひまわり証券

貿易収支だけで取引判断をすることはナンセンスですが、貿易赤字(円売り)の多い2014から2015年にかけて円安傾向となり、貿易黒字(円買い)となっている2016年から円高トレンドとなっていることが分かるかと思います。

金融政策の見方

次は、FXを行う上で避けて通れない金融政策のお話です。難しそうな話題に聞こえるかもしれませんが、まずは基礎を押さえましょう。基本を知れば、中長期投資でとても有利となります。

金融政策は、国や地域の中央銀行にあたる機関が行います。主な金融政策は、以下3つです。

・金融引き締め:利上げ ⇒ 通貨価値の上昇
・現状維持
・金融緩和:利下げ   ⇒ 通貨価値の減少

利上げが行われると、その通貨を保有している場合にもらえる金利が増えますので、その通貨は買われやすくなります。反対に利下げが行われると、もらえる金利が減りますので、通貨は売られやすくなります。これが基本となります。

一番インパクトがあるのは、金融政策が変更された時です。アベノミクス相場を例に挙げましょう。2013年当時の日本銀行は、4月に大胆な金融緩和を発表しました。この政策は日本円の価値を下げることになりますので、円売り=円安要因となります。日本円が売られて相対的にドルの価値が上昇します。そのために、ドル円は上昇しました。

ドル円チャート(2013年~2015年)

出典:ひまわり証券

日銀の発表前にも、『金融緩和が行われるかもしれない』という噂でドル円は買われていましたが、金融緩和の発表でさらにドル円は上昇しました。

その後、2015年にももう一度金融緩和を発表したことで、ドル円はさらに上昇することとなりました。金融政策で相場が大きく動くということがよく分かるかと思います。

選挙と相場の密接な関係

最後に、相場を大きく動かす要因となる「選挙」に関して触れておきましょう。

日本の解散総選挙後のアベノミクスや、2016年のアメリカ大統領選挙後のトランプ相場は、どちらも選挙が絡んでいました。

選挙で相場が動くのは、以下のような理由があるからです。

・金融政策が大きく変わる可能性
・中央銀行総裁や金融大臣の入れ替わり
・景気が悪かった場合は、大変革への希望的観測

日本のアベノミクス相場を例に挙げましょう。

2012年の秋から、当時の野田総理は「近いうちに解散」と言い続けていました。そして、11/14に国会で安倍さんとの討論中に突如解散を発表!このあまりの突然の発表に投資家は驚きました。しかし、長きに渡り日本の政権運営をしていた自民党が与党となることにより、景気が回復するかもしれないという思惑から、株価は上昇。

その後、自民党のマニフェストが発表されると、大胆な金融緩和を行うということが分かります。そして、選挙前から自民党が有利なことが分かっていましたので、世界中の投資家が円を売ってドルを買うことで、円安ドル高が進行。

リーマンショック以降、5年間も円高が続いたことから、歴史的変化が起きる時と同様、とんでもないインパクトがありました。

1ドル78円程度で推移していたドル円は、数日後には80円台に。選挙で自民党の勝利が伝えられると、さらに上昇し90円台に。そして、上に書いたように日本銀行が金融緩和という円安になる政策を打ち出したことで100円台まで上昇することとなったのです。

2016年のアメリカの大統領選挙でも、予想外にトランプ氏が当選するというサプライズが発生しました。サプライズは相場を大きく動かします。そして、当選後のトランプ氏が大胆な経済政策と減税を行うと発表!

アメリカの景気が良くなるという思惑から、世界中の投資家がドルを買うことでドル円は100円台から118円台まで急騰することとなったのです。

2016年のドル円チャート

出典:ひまわり証券

まとめ

上に挙げた例のように、為替は一度トレンドが発生すると大きく動く傾向にあります。アベノミクス相場では、ドル円を買って半年間保有しているだけで、投資資金は何倍にも増やすことができました。毎日、買ったり売ったりする必要はありません。

筆者は以前デイトレードをメインにしていましたが、大きな相場が来た時には、買って保有しているだけ、ということが多くなりました。なぜなら、そのほうが利益が出るからです。

そして、上記で挙げたように経済や金融政策を知り、その変化をとらえることができれば、初心者でも大きな利益を出せる可能性があります。そのためには、相場を動かす材料である景気や経済政策などを知ることが重要です。

たとえば、ひまわり証券が行うイブニングチョイスというコーナーで毎日10分間、今晩のTradeに役立つ経済情報を動画でお届けしています。まずは、証券会社が発信する情報を継続して視聴しながら、FXの用語や流れに慣れていくこともオススメです。

今回は基礎的な知識を書きましたが、どこかの機会でもっと具体的に書きたいと思っています。

デイトレードで短期間にバシッと利益を出すのはたしかにカッコ良いかもしれませんが、初心者の方はまずは中・長期投資から始めてみてはいかがでしょうか。

ライタープロフィール

児山 将(こやま しょう)

2009年大学4年時にFX取引を始め、ビギナーズラック後にお約束のように強制ロスカット。飲食店勤務を経て、金融大手メディアでライター兼サイト制作を行う。ファンダメンタルズ分析を基本とし、株式、CFD、仮想通貨など多数の金融商品で短~中期取引を行い、毎月給料を超える収益を得る。

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