日銀が行う20兆円規模のETF買いとドル円の関係

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日銀が行う20兆円規模のETF買いとドル円の関係

 

| ETFとは?

ETFとはExchange Traded Fundのことで、取引所に上場され、売買されている投資信託のこと。日本では東京証券取引所に200以上のETFが上場され、日々、株式と同じように売買されています。

日銀がETFを買い始めたのは2010年12月からのこと。買入対象は日経平均株価連動型とTOPIX連動型で、当初の買入限度額は0.45兆円でした。それが東日本震災や景気後退、デフレからの脱却など、さまざまな理由を背景にして買入限度額が引き上げられ、買入総額は20兆円にも達しています。

 

| なぜ、日銀がETFを買うようになったのか?

第一に、純粋に株価対策という面はあるでしょう。日銀が輪転機を回してどんどんお金を作り、それを株式市場に投入したら、株価は際限なく上昇する可能性があります。

ただ、それを実際に行えば、別な形の歪が生じる恐れがあります。円の通貨価値は暴落し、ハイパーインフレとは言わないまでも、インフレが昂進する恐れがあります。そのため現状、日銀はある程度の節度を持って、これを実行しているわけですが、やはり日銀によるETF買いには、どこをどう申し開きしたとしても、株価対策という側面があることは拭い去れません。

第二に、金融市場にたくさんのお金を流すことです。要するに金融緩和のためにETFを買い入れ、それによってお金を金融市場に流せば、金融緩和と同じ効果が得られ、物価が上昇する可能性が高まるというものです。

では、7年にわたって日銀がETFを買い続けた結果、株価と物価はどうなったでしょうか?

現状、物価はそれほど上昇していませんが、株価は着実に値上がりし、一時的にではありますが、日経平均株価は2万3000円を付けました。これは26年ぶりの高値水準です。

【日経平均と消費者物価指数の相関関係】

また、日銀がETFの買入を始めた2010年12月以降のドル円を見ると、日経平均株価の値動きと似ていることが分かります。両者の間には何か関係があるのでしょうか。

 

| ETFと相場の関係

本来、日銀がETFを買い入れて、それが株高要因になるとしたら、外国人投資家は日本株を買いに来ます。事実、10月の株高局面では、日本の個人投資家が売り越しを続ける一方、外国人投資家は買い越しを続けていました。

外国人投資家が日本株を買う場合、手持ちの外貨を円に替えるので、基本的には円高要因です。そうであるにも関わらず、日本株の株高と円安が同時に進んだのは、もうひとつ、リスクオンとリスクオフの動きがあったからと考えられます。

日本をはじめとして世界的に株高の傾向が強まると、世界中に資金を投資しているヘッジファンドなどはリスクオンの傾向が強まるため、円など金利の低い通貨で資金調達をして、新興国などに投資する動きを強めます。その際、調達した円を売って新興国通貨などに切り替えるため、外国為替市場では円安が進みやすくなります。

リスクオン
投資家がリスクを取って、リターンを追求しやすい相場状況のこと。先進国の景気が良好な場合、株式などに投資家の資金が向かいやすくなる。

リスクオフ
投資家がリスクを回避し、より安全な資産に、資金が向かいやすい相場状況のこと。万が一に備えて、リターンは低くても安全な金融商品が選ばれることが多くなる。


つまり、日銀のETF買いが日本の株価を押し上げ、徐々にリスクオンの傾向が強まると、円が売られて円安が進むという流れ
です。そして円安が進めば、今度は日本の企業業績が良くなることへの期待感が強まるため、徐々に個人投資家の日本株買いが始まります。こうなれば、好循環の日本株高へとつながっていきます。

日銀のETF買入については、マーケットを歪めるといった批判もありますが、現状、日銀がそれを止めた時点で、株安と円高が急伸するリスクもあるので、当面は続けざるを得ないでしょう。

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