消費税が10%になったらドル円はどう動く? データから見る動き(グラフ付き)

消費税が10%になったらドル円はどう動く?

データから見る動き(グラフ付き)

 

| 過去3回の引き上げでドル円はどう動いたか?

消費税の再引き上げがまことしやかに噂されるようになりました。現在の消費税率は8%。これを10%に引き上げるというものです。

現実問題として、消費税の引き上げは行われるのかどうか。その是非は別にして、消費税率の引き上げがマーケットにどのような影響を及ぼすのかについて、考えてみたいと思います。

過去、消費税の引き上げは3回行われました。

最初は1989年4月の導入時。当時の竹下政権のもと、消費税法が施行され、最初は3%で導入されました。

最初の税率引き上げは1997年4月のことで、3%が5%に引き上げられました。

その後は2012年8月の民主党政権のもと、民主、自民、公明の3党合意によって、2014年4月に8%へ引き上げた後、2015年10月に10%まで引き上げるという法律が成立。これに基づき、2014年4月に8%まで引き上げられたものの、その後、景気がスローダウンしたことから、10%への引き上げは今も実現していません。

このような道筋をたどってきた消費税率引き上げですが、では過去、消費税の導入、もしくは引き上げが行われた前後、ドル円はどのような動きをしたのでしょうか。

1989年4月の導入時は、1月の1ドル=123円台から、導入後の6月にかけて149円台まで円安が進み、年末には143円台となりました。
1997年4月に5%へ引き上げられた時は、1月が115円台で、導入された4月に126円台まで円安が進んだものの、6月には111円台まで円高が進み、12月にかけて131円まで円安が進みました。
2014年4月に8%まで引き上げられた時は、1月が104円台。その後、消費税率が引き上げられた4月以降もほとんど大きな動きがなく、101円台から102円台のレンジ相場が続いた後、8月あたりから円安の兆しが現れ、12月には121円台まで円安が進みました。

このように、過去の推移をみると、いずれも年末にかけて円安が進んでいます。それも、すべて20円前後の幅で円安が進んでいます。これはただの偶然なのか、それとも何か円安に進むメカニズムが働いているのか、ということなのですが、ひとつ共通するのは、消費税率が上がると一時的ではありますが、物価が上昇します。消費税率が8%から10%に引き上げられるとしましょう。定価100円のものに消費税8%を乗せると108円ですが、10%になると110円に値上がりします。この分が消費者物価に反映されます。108円だったものが110円になれば、消費者物価指数を1.85%押し上げることになります。現在の消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合で8月が対前年同月比で0.7%の上昇ですから、消費税率の引き上げが消費者物価に大きく影響することが分かります。

そして、物価の上昇は通貨価値の下落を意味します。「通貨価値が下落するのだから円安になる」というのが、マーケット関係者の間では脊髄反射のようになっているため、円が売られやすくなると考えられます。

 

| 消費税率の引き上げで円安に弾みがついた原因は?

ただ、これに加えて現状のマクロ経済情勢も考慮に入れる必要があります。

1997年4月から年末にかけての円安は、1995年4月に1ドル=79円75銭という円高水準を付けた後、「ミスター円」の異名をとった榊原元財務官のもとで円売り介入が行われ、1998年に1ドル=147円台という円安水準を付けに行く途中過程でした。

2014年4月は当初、ほとんど材料がない状況でしたが、8月あたりから米FRBが量的緩和を止めるという話が浮上し、徐々にドルが買われ始めました。量的緩和を止めるということは、金融引き締めとイコールですから、米国の景気が好調で、いよいよ物価が上がり始めて金利も引き上げられるという連想が働いたのです。加えて同年10月には、日銀がさらに金融を緩和しました。結果、日米の金利差がさらに広がるとの見方がマーケットで優勢になり、円安に弾みがついたのです。

 

| いつ引き上がるのか?

過去、消費税の導入・引き上げは、確かに結論としては円安になっていますが、それぞれ事情が異なります。もし消費税率が10%に引き上げられるとしたら、直近では2019年10月になります。この間にデフレから完全に脱却し、インフレに転じているようだと、消費税率引き上げの可能性は高まります。インフレですから、マーケット関係者の脊髄反射としては円安ですし、さらに言えば、この時期にかけて日本の経済力が、人口減少の影響などで落ちている恐れがあります。

インフレにしても、経済力の後退にしても、円安要因です。そう考えると、3回目の消費税率引き上げも円安になると考えるのが妥当なのかも知れません。そこは、皆さんも頭の体操として、考えてみると良いでしょう。

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