「円の価値」と「食糧自給率」の関係とは?

「円の価値」と「食糧自給率」の関係とは?

 

| 低下し続ける日本の食料自給率

食糧自給率は、国内で消費された食料のうち、国内で生産されたものの割合を示しています。日本の食料自給率は、1960年度の79%をピークに低下の一途をたどり、コメの凶作が見舞われた1993年度に過去最低の37%まで低下しました。その後は40%を上回ることもありましたが、2016年度は38%まで低下しており、食料安全保障に対する関心が、再び高まりつつあります。

【日本の食料自給率(カロリーベース)の推移】

参考資料:農林水産省「食料需給表」

ここまで食料自給率が下がったのはなぜでしょうか。さまざまな事情はあると思いますが、そのひとつに為替の動きがあることにも、注目した方が良さそうです。

ドル円の歴史を見ると、戦後、1ドル=360円という固定相場が適用されたものの、1973年には変動相場制へと移行し、長年に亘って円高が続きました。ちなみに戦後の円最高値は、2011年10月31日、早朝に瞬間的に付けた1ドル=75円32銭です。

【ドル円相場の長期推移(1973年以降)】

(注)月間平均値 資料:IMF資料より

これだけ円高が進めば、海外から食料を割安な値段で輸入できるようになります。一方で、日本国内の農家が作る農作物などは、人件費などのコストが上昇したことで割高になり、海外から輸入されてくる割安な農作物に、価格面で対抗出来なくなっていきました。

また、輸入自由化の問題もあります。1990年代以降、世界的に貿易の自由化が進むなか、日本は海外からの食料輸入に門戸を開かざるを得なくなりました。1991年には牛肉・オレンジの輸入を自由化し、1993年には日本の農業の聖域ともいうべきコメの自由化を求められましたが、それは一応保留し、その代わりに最低輸入量(ミニマムアクセス)を受け入れることになりました。結果、コメに関しては100%の自給率を維持していましたが、これを機に、コメの自給率は97%まで低下したのです。

もちろん、海外から安価な食料がどんどん日本に入ってきたことで、食卓が豊かになったのは事実です。

 

| 世界的にはカロリーベースではなく、「生産額ベース」で計算するのが普通

しかし、食料を過度な輸入に依存している現状は、極めて危ういのも事実です。地球上のどこかで紛争が起こり、食料の補給路を断たれた時、異常気象の影響で世界的に不作が続いた時、海外からの食料輸入に頼っている日本が、食料不足に陥る恐れがあります。そうでなくても、たとえば円安が急激に進んだら、輸入されてくる食料の値段が急騰するリスクも考えられます。事実、2012年からの円安によって、輸入物価指数(食糧・飼料)の値段も上昇しました。

ただ、日本の食料自給率は、カロリーベースで計算されている事実には、注意する必要があります。現在、世界的にはカロリーベースで計算するのではなく、生産額ベースで計算するのが普通なのです。ちなみに生産額ベースで日本の食料自給率を計算すると、2016年度で68%にも上昇します。この数字はドイツやスイスと大差ありません。

ちなみに、カロリーベースの食料自給率は、ドイツが95%、スイスが50%で、いずれも日本のそれを大きく上回っていますが、生産額ベースにするとほとんど同じですから、カロリーベースの数字は、いささか割り引いて見ておく必要がありそうです。事実、カロリーベースの食料自給率を農林水産省が公表していることについては、食料に関する危機感を煽り、予算を少しでも多く振り分けてもらうための工作だという話もあるくらいです。なので、食料自給率はカロリーベースだけでなく、生産額ベースも合わせてチェックしておく必要がありそうです。

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