日本も米国も上げたい「物価」。その理由とは?

日本も米国も上げたい「物価」。その理由とは?

 

| 物価を上げたい理由とは?

上がりそうで、なかなか上がらない物価。それは日本だけでなく、米国をはじめとする他の先進国も同様のようです。

8月11日に発表された米国の7月の消費者物価指数は、前年同月比で1.7%の上昇となりました。6月の数値に比べて0.1%上昇したとはいえ、過去の消費者物価指数の推移を見ると、米国の消費者物価指数は、2017年2月の2.7%をピークにして、2017年6月まで4カ月連続で低下しました。これは昨年10月時点の水準です。また、7月の数字は、前述したように6月に比べれば0.1%上昇したものの、市場予想を下回るものでした。米国の物価上昇圧力は徐々に後退しており、米国政府が掲げている物価目標値の2.0%には届いていません。

【米国の消費者物価指数の推移】

日本の消費者物価指数は、さらに悲惨な状態です。日銀が掲げている物価目標値は、米国と同様、消費者物価指数で2.0%です。しかし、直近に発表された6月の消費者物価指数(総合)は、前年同月比0.4%でした。「コア」と呼ばれる、生鮮食品を除く総合指数も同様に前年同月比0.4%、さらに「コアコア」などと称されている、生鮮食品およびエネルギーを除いた総合になると、前年同月比0.0%と、全く物価が上がっていない状態になります。

【日本の消費者物価指数の推移】

欧州も、出口政策を模索しているものの、なかなか物価が上昇しない状況に苦しんでいます。ちなみにユーロ圏における7月の消費者物価指数は、前年同月比で1.3%の上昇にとどまりました。ちなみにユーロ圏の物価目標値も2.0%です。

先進国が2.0%という物価目標値を掲げて、今よりも物価水準を引き上げたいと考えているのは、なぜでしょうか。

 

| 物価は、マイルドなインフレであることが理想?

一番の理由は、言うまでもなくデフレが定着することを恐れているからです。日本が極めて長いデフレ局面を経た結果、経済は極めて疲弊しました。その状況を目の当たりにして、同じ轍は踏みたくないという意識が生じるのは当然でしょう。

第二に、金融政策の自由度を確保したいからです。リーマンショック後、米国、ユーロ圏、日本はいずれもゼロ金利ないしはマイナス金利政策を導入し、QEと呼ばれる量的金融緩和策も積極的に行ってきました。

しかし、金利水準がゼロ、ないしはマイナス圏になると、今後、さらに経済情勢が悪化したり、リーマンショックのような経済ショックが生じたりした時、金融政策で打てる手が限られてしまいます。だから、少しでも経済が安定している今のうちに、金利水準を引き上げて正常化に持っていきたいと、各国の中央銀行は考えています。金利を上げるためには物価上昇が必要なので、2%という物価目標値を掲げているのです。

第三に、デフレは経済にとってマイナス要因です。モノの値段が安くなるのは、消費者目線では歓迎ですが、経済活動を停滞させる恐れがあります。日本経済が、「失われた20年」などと称される長期低迷期を経験したのは、デフレによる影響が大きかったからです。

このように、デフレの問題点を考えると、物価はマイルドなインフレであることが理想であると言えます。だからこそ、各国の金融当局は物価目標値を掲げて、物価を押し上げるための政策を遂行しているのです。

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