もし、戦争が始まったら為替はどう動く?

もし、戦争が始まったら為替はどう動く?

 

| 「有事のドル買い」から「有事の円買い」へ

かつては「有事のドル買い」と言われ、地球上のどこかで武力衝突が生じた時には、米ドルが買われたものでした。冷戦当時は、旧ソ連の戦闘機、MIGが亡命目的で西側諸国に入ったというだけで、一気に米ドルが買われたものです。

しかし、今は「有事のドル買い」が薄れ、「有事の円買い」になるケースもあります。

そもそも、有事の円買いという動きが顕著に現れたのは、2001年9月11日に起こった同時多発テロです。米国にとっては初めてといっても良い、本土への直接的なテロ攻撃に遭ったことで、米ドルは大きく売られました。9月10日のドル円は、1ドル=121円台でしたが、その10日後の9月20日には、1ドル=115円台をつけたのです。

以来、有事のドル買いという、圧倒的な米ドルに対する信頼感が、薄れました。2008年のリーマンショック時にも、同ショックが生じる前は1ドル=107円台で推移していたのが、2008年12月半ばには1ドル=87円台まで円高が進んだのです。

同時多発テロも、リーマンショックも、米国を震源地にしたショックだったため、米ドルが売られるのはやむなしという面はあります。ですが、こうした米国発のショックを契機にして、マーケットに何かしらリスクが生じた時の資金の流れ、特にホットマネーと呼ばれる投機資金の流れに、変化が生じたように見えます。それが、「リスクオンによるドル買い」と、「リスクオフによる円買い」です。

 

| 円が安全というよりも、リスクオフ・リスクオンが為替レートに影響

なぜリスクオンでドルが買われるのかというと、相対的に金利が低い円で資金を借り入れた後、それをドルに替えて、よりリスクの高いものに投資する動きが強まるからです。借り入れた円をドルに替える過程で、円売りドル買いとなるため、リスクオンではドル高が進みます。

逆に、リスクオフになると、投資した資金を回収するため、リスクオンとは逆の動きになり、円買いドル売りになります。

つまり、円が安全な通貨というよりも、上記のように、リスクオンとリスクオフの時に、投機資金がリスクポジションを高めたり、逆にリスクポジションを解消したりするため、為替レートが大きく変動するのです。

したがって、北朝鮮と米国の間の緊張状態が高まれば、リスクオフによって円が買われることになるのですが、これはもう一方で、そう簡単に米国は北朝鮮を攻撃しないという楽観的な見方があるからです。

現状、韓国には大勢の米国民間人および駐留米軍がおり、この状況での早期的軍事攻撃は、韓国に駐在している米国民を危機的状況に追い込みます。本格的に、米国民を朝鮮半島から脱出させる動きが顕在化しない限り、米国が積極的に軍事行動に出る可能性は低く、その範囲に収まっていれば、マーケットは安心して円を買えるわけです。

ただし、軍事行動が本格化すれば、韓国だけでなく日本への影響も無視できなくなり、その時は円売りが一気に強まる恐れがあります

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