EU離脱で進んだポンド安はどこまで進むのか!?

EU離脱で進んだポンド安はどこまで進むのか!?

 

| 10年推移で見ると、ポンド安の傾向

過去10年の長期チャートを見ると、ポンド/円の最安値が、2011年9月につけた1ポンド=116円81銭で、現在は1ポンド=141円前後で推移しています。この8か月間は、どちらかというとポンド高が進んでいるわけですが、2007年は1ポンド=250円台を付けており、そこから見れば、今の水準はポンド安です。

【10年推移で見ると、ポンド安】

資料:ひまわり証券

もう少し詳細に見ると、ポンド円は2012年1月に安値を付けたものの、2015年6月には195円台まで戻し、8月まで揉み合いが続いた後、2016年10月まで下落、という道筋をたどりました。

資料:ひまわり証券

つまり今の水準は、長期的に最安値をつけてから、徐々にポンド高に向かい始めている過程に見えます

 

| 再び上昇トレンドは来るのか?

さて、これから先、ポンドは再び1ポンド=200円に向けて、上昇トレンドをたどるでしょうか?

現在の状況を見ると、ポンドがどんどん上昇していくような環境ではなさそうです。

目先では、メイ首相率いる保守党が、6月8日に行われた下院総選挙において、議席数が過半数を割り込むという失態を演じました。事実上の敗北選挙だったわけですが、メイ首相はそのまま続投。一応、第一党は維持しましたが、過半数割れによって、今後の議会運営には暗雲が垂れ込めています。

また、これからはイギリスのEU離脱に向けて、さまざまな離脱交渉が行われますが、それが順調に進む可能性は、かなり低いと見られています。イギリスは2017年3月29日にEU離脱の正式通知を行っており、それから2年間の交渉期限が定められていますから、離脱交渉のタイムリミットは2019年3月29日になります。交渉が2年以内にまとまらない場合は、欧州理事会の全会一致によって、離脱交渉を延期させることは可能ですが、それが出来ない場合は、いきなりイギリスはEUから切り離されることになります。下院総選挙が終わり、これからいよいよEU離脱に向けての交渉が本格化してきますが、下院で過半数を抑えられなかった、保守党としては、今後の国内調整にも苦労する恐れがあり、2年という期限内で、果たして山積している離脱交渉が無事に終えられるのかどうか、先行きは見えていません。

 

| EU各国から「裏切者」の烙印を押されているイギリス

仮にイギリスがEUから期限内に離脱できたとしても、その前途は多難です。イギリスはEU各国から「裏切者」の烙印を押されています。恐らく、交渉が何とかまとまったとしても、その内容は、イギリスにとって決して有利な条件のものにはならないはずです。

これらのデメリットを考えると、ポンドがここからさらに上昇していくとは、とても思えません。2016年10月につけた1ポンド=117円82銭という安値を割り込めば、今度はポンドの底が見えなくなります。

もちろん、イギリスの輸出産業にとって、ポンド安は確かにプラスですが、ポンド安が進めば進むほど、イギリス国内に輸入されるモノの値段は上昇し、インフレリスクが高まります。イギリス経済の疲弊が一段と深刻化する恐れがあり、それがさらなるポンド安につながることも考えられます。中長期的にも、ポンドの上昇トレンドは期待しにくいでしょう。

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