世界の通貨に衝撃を与える!? 中国の人民元が「変動相場制」に変わる日

世界の通貨に衝撃を与える!?

中国の人民元が「変動相場制」に変わる日

 

| 「固定相場制」⇒「管理フロート制」という道筋をたどってきた人民元

これまで人民元は、「固定相場制」⇒「管理フロート制」という道筋をたどってきました。

固定相場制は文字通り、人民元のレートを米ドルに固定させるというものです。かつて円が米ドルに対して、1ドル=360円で固定されていたのと同じです。固定相場制の下では、経済情勢にどのような変化が生じようとも、為替レートは固定されます。

これに対して管理フロート制は、完全な変動相場制に移行するまでの経過措置的なもので、人民元の為替レートは変動しますが、中国の通貨当局である人民銀行が、人民元の変動幅を一定範囲内に収まるようにコントロールしています。管理フロート制に移行したのが2005年7月21日のこと。以来、12年にわたって人民元は、管理フロート制のもとで推移してきました。

【人民元 対ドルレート推移】


人民元が管理フロート制に移行して以来、人民元は米ドルに対して徐々にその水準を切り上げてきました。具体的なレートを示すと、2005年7月には1ドル=8.1元前後だったのが徐々に切り上がり、2008年7月には6.8元まで、人民元高が進んだのです。

しかし、そこからリーマンショックが起こり、中国は自国の輸出産業を保護・支援するため、人民元を一時的に「1ドル=6.825元前後」という固定相場制にしたのち、2010年6月から再び管理フロート制に移行させています。そして、2014年1月には、6.0元まで人民元高が進みました。

このように、管理フロート制のもとで人民元高を進めてきたのは、ひとえに米国からの人民元切り上げ圧力が強まったからです。米国の対外貿易赤字の中心は、中国からの輸入によるものであり、加えて当時、年率2ケタの経済成長を続け、日本を抜いてGDP世界2位にまでなった中国の通貨である人民元は割安に過ぎる、という批判が高まったのです。そのため、中国は管理フロート制を導入し、人民元を徐々に適正水準に切り上げたのです。

 

| 変動相場制に変わる日は来るのか?

では、どうして変動相場制に移行しないのでしょうか。ここに中国が抱える大きなジレンマがあります。

確かに今の中国は、経済的には資本主義的なものを導入しているとはいえ、政体は共産主義であり、経済は計画経済です。計画経済の下で完全変動相場制が導入されると、為替相場の変動によって国内経済は自己完結できなくなるため、計画経済そのものが成り立たなくなります。極論すれば、共産主義を放棄せざるを得なくなります。それを、現在の共産党幹部が容認するとは思えません。

また変動相場制を導入したら、国境を越える資金移動を自由化させなければなりません。そこで問題になるのが、中国からの資本流出です。2016年11月末の中国の外貨準備は3兆516億ドルですが、これはピークだった2014年の4兆ドルに比べて、1兆ドル近くも減っています。

今の中国には、人民元をハードカレンシー、つまり貿易取引に頻繁に用いられる通貨にしたいという願望があります。それを実現させるためには、資本の自由化を進め、変動相場制を導入しなければなりませんが、それは資本の流出を加速させるのと同時に、共産主義を放棄することにもつながります。そういう意味で、中国は大きなジレンマを抱えているのです。

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