自動車産業は生活だけでなく世界経済に大きな影響を及ぼす

自動車産業は生活だけでなく世界経済に大きな影響を及ぼす

| 世界で最大規模の自動車産業マーケット

日本は自他ともに認める自動車大国です。トヨタ自動車を筆頭に、日産自動車、本田技研、マツダ、三菱自動車、スズキ、スバル、というように、乗用車のメーカーだけで7社もあります。これに商用車メーカーも入れたら、さらに増えます。

恐らく、他の国も同じなのではないかと思っている方もいるでしょうが、自動車メーカーをたくさん持っている国は、意外と少ないのが現実です。日本に外国車として輸入されており、誰もが知っている自動車メーカーを持っている国を、ざっと思いつくままに挙げると、米国、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、くらいのものでしょう。これに最近は、韓国や中国が頭角を現しつつあるというのが、現状だと思います。

もちろん、他の国も自動車メーカーを持っていますが、たとえばシュコダという自動車メーカーを知っている人は、よほどのモータースポーツ好きか、自動車マニアでしょう。ちなみにシュコダはチェコの自動車メーカーです。そのくらい、グローバルにビジネスを展開している自動車メーカーは少なく、そのメーカーを擁する国は、やはり先進国が中心です。冒頭に挙げた、日本、米国、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアという6カ国以外で、グローバルな自動車ビジネスを展開している国は、ないといっても良いでしょう。そして、これらの国々は、確かに過去の栄光の中で生きている国もありますが、世界196カ国の中では、相対的に経済大国です。

自動車は、我々の生活にはとても便利なものですが、時折、貿易戦争のネタにもされます。90年代半ばに起こった日米自動車摩擦を覚えている人もいるでしょう。

なぜ、そこまで自動車に拘るのかというと、自動車メーカーは、その国の経済に及ぼす影響が非常に大きいからです。自動車を製造するに際しては、たとえば鉄鋼、ガラス、ゴムといった原材料メーカーだけでなく、各種部品のメーカー、広告に関連した企業など、非常に裾野が広く、それだけ大きな経済効果をもたらすのです。だから、すでに世界的なブランド力を持つ自動車メーカーを擁している国は、少しでも自国の自動車メーカーに有利な環境を作ろうとして、政治も巻き込んだつばぜり合いを繰り広げますし、経済発展を目指す新興国は、自分のところでも自動車メーカーを持とうとするのです。

 

| 車の自動運転は、遠い未来の話ではない。

トランプ大統領が、自国の自動車産業の拡大に注力しているのは、まさにこういう背景があるからです。

さて、とはいえ自動車メーカーの勢力地図は、これから大きく変わっていく可能性を秘めています。その背景にあるのが自動運転とEV(電気自動車)です。環境と安全に対する関心が世界的に高まるなか、今後はこの2つが大きな技術要素となり、その成功の可否が、自動車メーカーの勢力図を塗り替える可能性があります。そのうえ、これまで自動車とは全く関係が無かった企業が、自動車メーカーとして参入してくる可能性もあります。その最右翼がグーグルと言われていますし、米国ではテスラがEVで勢力を伸ばしています。

こうなると、既存メーカーもうかうかしていられないところですが、日本ではトヨタ自動車が、AIで有名なプリファードネットワーク社と組んで、自動運転に力を入れています。既存メーカー、新興勢力も含め、今後の自動車セクターにおける勢力争いは、注目したいところです。

そして、自国の自動車メーカーを守りたいという国は、トランプ大統領ではありませんが、相手国に対して強烈な政治圧力をかけてくる可能性があります。それが為替レートを動かす要因になることもあるので、自動車メーカーの勢力図と、それに関連した政治発言には注目しておいた方が良さそうです。

【話題になったトランプ氏のトヨタへの圧力】

「トヨタは米国向けカローラを生産するために
メキシコのバハに工場を建設しようとしている。
あり得ない! 米国に工場を建設しないと、多額の関税払わせる」

 

なかでも日本のマーケットを見れば、外国車といえばドイツ車が優勢で、米国の車は先日、フォードが日本での販売から撤退したことでも分かるように、極めて劣勢です。それだけに、トランプ大統領が「日本の自動車市場は閉鎖的だ!」などと騒ぎ立てる可能性もあり、ドル円に大きな影響を及ぼすことになるかも知れません。日本における米国の自動車販売状況は、今後とも注視しておく必要がありそうです。

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