イギリスがEUを離脱した後の「欧州の新世界」とは?

イギリスがEUを離脱した後の「欧州の新世界」とは?

| イギリスEU離脱による影響は?

昨年6月、イギリスはEUからの離脱、通称「ブレグジット」を、国民投票で決めました。

あれから半年あまり。国民投票時の首相だったデービット・キャメロン前首相はその職を退き、テリーザ・メイ首相が誕生しました。これから、メイ首相のもとでブレグジットに向けた手続きが始まるわけですが、ここで問題になるのが、「ソフトブレグジット」か「ハードブレグジット」か、ということです。

※ブレグジット=イギリスが欧州連合(EU)を脱退すること。 Britain(英国)とExit(離脱) を組み合わせた造語。

両方とも、EUから離脱することは同じですが、ソフトブレグジットは一部、EUとのアクセスを残した状態でのブレグジットを意味します。ハードブレグジットとは、イギリスがEU離脱をする際に、欧州の単一市場への自由なアクセスを失ってまでEU離脱することを意味します。

イギリスがEUから離脱することを決めた最大の争点は、移民の受け入れをこれ以上、国として許容できるかどうかという点でした。そして、昨年6月の国民投票の結果、イギリス国民はEU加盟によって得ている経済的利得の引き換えとして負っている、移民受け入れの義務にこれ以上、耐えられないとして、EUからの離脱を決めました。そして、移民問題で苦しんでいる国は、イギリスだけではありません。4、5月に行われるフランス大統領選挙で大統領の有力候補とされるマレーヌ・ルペン氏は、国民戦線(FN)という極右政党の党首であり、移民排斥のためEUからの離脱をも辞さない姿勢を鮮明にしています。

つまり、イギリスは出来ればソフトブレグジットを望んでいるでしょうが、同じ問題を抱える他のEU加盟国からすれば、「いいとこ取りなんて許されない」というのが本音でしょう。したがって、ソフトブレグジットという選択肢はなく、ハードブレグジットにならざるを得ないというのが、現実的な見方です。

 

| ハードブレグジットなら株価暴落!?

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提供:ひまわり証券

これは、フランスのオランド大統領が、イギリスにとって都合の良い政策を残したまま離脱はできないだろ、という発言からです。

ハードブレグジットは、イギリス経済にどのような影響を及ぼすでしょうか。ハードブレグジットになれば、イギリスが現在、EUとの間に維持しているEU域内への自由なアクセスが失われます

たとえば、イギリスからEU域内にモノを輸出する際の関税率は、現在はゼロですが、これに対して関税がかかってきます。

金融サービスについても、EU加盟国である限り、イギリスに拠点を置いた金融機関がEUに進出する際、何の許認可もなく自由に拠点を設けることができますが、EUから離脱すれば、そのメリットは受けられなくなります

イギリスは金融立国です。と同時に、日本の自動車メーカーは、イギリスの工場で自動車を作り、対欧州大陸向けの輸出を行っています。ハードブレグジットは、イギリスがこれまでEUに加入していたことで受けていた経済的メリットを、放棄することにつながるのです。

また、EUにとってイギリスは、商売のお得意さまです。しかし、EUからイギリスへの輸出にも関税がかかるようになれば、当然のことながら対イギリス向けの輸出も落ち込むことになります。

ブレグジットによって、イギリスは移民受け入れについてフリーハンドを得たわけですが、EUとイギリスの経済活動は、大幅に縮小することになりそうです。つまり英ポンドとユーロは売りということになるでしょう。

今後も、為替の動向から目が離せません。

 

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